淡水のゲームフィッシュたち







・ブラックバス
日本のルアーフィッシングにおける淡水のターゲットと言えば、トラウト類とブラックバスがその双璧です。
ブラックバスは欧米のルアータックルが輸入されるようになった1960年代後半から一般的になったと言えますが、高い人気を得た理由はヒットした時のファイトの面白さや、非常に多様なルアーで釣れることなどが挙げられるでしょう。
時にはトップウォータープラグと言われるルアーを目がけて水面を割るような光景が見られ、キラキラした金属板がくるくると回る仕組みを持ったスピナーベイトを追いかけ、クランクベイトというずんぐりむっくりしたルアーがあるなど、色々なルアーを使い分けて釣る面白さがあります。
トーナメントと呼ばれる大会が各地で開かれ、いわゆる「バスプロ」と呼ばれるアングラーがいる反面、子供たちが放課後に岸釣りを気軽に楽しむこともできる魚です。
・トラウト
一口にトラウトと言っても、日本在来種のヤマメ・アマゴ・イワナやヒメマスから、1877年に北米から日本へ移入されたニジマス(レインボートラウト)や、ヨーロッパ原産のブラウントラウトまで多様な種類のトラウトがいます。
そして、その釣法もフライフィッシング・トローリング・キャスティングなどの欧米から入って来たスタイルから、日本古来の毛バリ釣りであるテンカラ、イクラや川虫などを使ったエサ釣りまで様々です。
各地の川や湖で釣ることができますが「管理釣り場」と呼ばれる営業釣り堀も各地に多く存在し、そこでは大きな大会が開催されることもあります。
しかし、多くの魚が放流されている管理釣り場は誰にでも手軽に釣りを楽しめるため、ファミリーフィッシングとしても広く親しまれています。
さらに、食味という点から見ると、トラウト類は日本人の嗜好に非常に合っており、釣ったトラウトを管理釣り場に併設されたバーベキュー場で塩焼きにして食べることなどもトラウトの釣りの楽しみ方のひとつです。
・ワカサギ
以前は、ワカサギ釣り場は東日本の湖が中心となっていましたが、この10数年ほどで西日本でも広く楽しまれるようになり、全国的な人気釣魚となりました。
その釣期は夏の後半から冬まで半年ほどで、寒冷地では真冬に氷結した湖の氷に穴を空けて釣りをする「穴釣り」と言われるスタイルがありますが、凍っていない湖にボートを浮かべて釣りをする場所も多くあります。
たくさんの針が付いた仕掛けを使いますが、ボートの場合は針が10本以上のものを使うこともあり、それにズラリとワカサギが付く光景はワカサギ釣りの一つの醍醐味と言えるでしょう。
また、釣り場によってはドーム船と呼ばれる屋根付きの大型船に乗って釣りができるところがあり、天候に関係なく快適に楽しめることからファミリーやカップルにも人気があります。
赤虫やサシといった小さなエサを使うことが一般的ですが、芦ノ湖などでは夏から秋にかけてはエサ無しの「カラ針」で釣ることができ、多くのボートが湖面に浮かんでいる光景を見ることが出来ます。
・ヘラブナ
ヘラブナに始まりヘラブナに終わる、と古くから言われてきたように日本の淡水の釣りを代表する存在がヘラブナ釣りです。
その言葉は、この釣りが手軽に楽しめるものでありながら、しかし奥が深いものであることも表現しています。
静かな水面に浮かぶウキを見つめているだけにも見えるヘラブナ釣りですが、実はより多く釣るための攻略法を組み立てていく知的なゲームであり、
そのゲーム性の高さから全国的な大会も多く開催されています。
湖だけでなく川や池、釣り堀も多くあり、実は非常に身近な場所で日常的に楽しむことができる釣りでもあります。そういった背景から、日本各地には数多くのヘラブナ釣り愛好団体が存在し、幅広い年齢層で長年にわたって支持されてきました。
キャッチ&リリースというルアー的用語がなかった時代から連綿と行われてきたヘラブナ釣りは、まさに日本のゲームフィッシングの草分けであると言えるでしょう。